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第43話 王妃宮の白い扉

last update publish date: 2026-09-19 13:49:22

 王妃宮は、王宮の北側にある。

 王の執務棟や謁見の間、貴族たちが行き交う大回廊とは違い、そこだけ時間の流れが少し遅い。

 白い石壁。

 細い尖塔。

 冬でも枯れにくい常緑樹の庭。

 銀色の格子がはまった窓。

 そして、正面にある二枚扉。

 白い扉。

 王妃宮を知る者は、よくそう呼ぶ。

 王妃の清らかさを象徴する扉。

 王国の母たる方が、静かに祈り、慈しみ、弱き者へ手を差し伸べる場所。

 そう教えられていた。

 少なくとも、王妃教育を受けていた頃のリディアは、そう信じようとしていた。

 だが今は、その白さが怖い。

 白いものは、汚れが目立つ。

 けれど、汚れを隠すために塗り重ねることもできる。

 何度も、何度も。

 朝の監査局会議室には、王妃宮に関する資料が積まれていた。
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